2011年03月14日

黒澤 明『夢』ー赤富士ーより

黒澤 明『夢』ー赤富士ーより

この本は、1990年に出版された映画の巨匠/黒澤明著書の『夢』。
映画『夢』を撮影するために黒澤明監督自ら絵コンテを描いたというこの本は、私の大切な宝物。
黒澤明氏の力強いタッチと色使いがとても素晴らしく、正直言って、映画の『夢』よりも、こちらの絵コンテの方が感動してしまった私。
8つの『夢』が描かれているのだけれど、その『夢』の中に、いろんなメッセージが込められている。
そのメッセージが、これまた脳裏に焼き付くようなものばかりで、私の『夢』にもでてきたことがあるほど!kya-

なぜ、この本を引っ張り出してきたかといえば、東北地方太平洋沖地震にて、福島原発の事故のニュースを見て、黒澤明氏の『夢』と重なったからである。


黒澤 明『夢』ー赤富士ーより
『赤富士』というタイトルの『夢』。
大勢の人々が逃げ惑っている。何があったのかわからない。目の前では赤く染まった富士山が大噴火を起こしている。原子力発電所が爆発したという。放射性物質が人々に襲ってくるというおそろしい夢。


黒澤 明『夢』ー赤富士ーより
女「原発は、安全だ!危険なのは操作のミスで、原発そのものに危険はない。絶対ミスを犯さないから問題はない、とぬかした奴等は、ゆるせない!あいつら、みんな縛り首にしなくちゃ、死んでも死に切れないよ!」
男「大丈夫!それは、放射能がちゃんとやってくれますよ。すみません。僕もその縛り首の仲間の一人でした」


こんな感じの内容(一部抜粋)。

巨匠/黒澤明氏は、自然災害で、原子力発電所が爆発することを悪夢として、警鐘を鳴らしていた。
それが、今、悪夢ではなく、なんと、正夢になってしまった!
この本が出版されてから約20年で、この時がくるとは!いつかくるかもとは思っていたけれど・・・
私たちは、夢ではなく、この現実に立ち向かわなくてはならない!


どうぞ、興味のある方は、この本を手にするのは難しいと思うので、DVDでご覧下さい。
でも、絵コンテの方が、鬼気迫る物があって、怖いです!

他の『夢』でも、私たちに向けたメッセージがたくさんありますので、できれば絵コンテで読んでもらいたいです。奥が深い素晴らしい作品です。もちろん、怖い『夢』ばかりではありません。


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Posted by Rico at 21:38│Comments(26)
この記事へのトラックバック
90年、黒澤明監督のオムニバス映画「夢」。 この中に、原発事故を描いた「赤富士」がある。    夢価格:2,816円(税込、送料別) 映画を見ていない人は、以下のページでイメージを...
原発事故と黒澤明「夢」【りゅうちゃん別館】at 2011年05月28日 10:19
この記事へのコメント
はじめまして。
静岡県に住んでいるものです。
私もRicoさんと同じように、この映画を思い浮かべた一人です。
黒澤明 赤冨士で検索したら、こちらにたどり着きました。

「放射能に色を付けたところで、逃げるところがなくなったら何の意味もない」
というようなことを言っていた記憶があります。

当時私はまだ10歳ぐらいで、テレビでやっていたこの映画をいまいち理解できなかったのですが、このセリフがとても印象に残っています。

黒澤監督の『夢』が、まさか現実になるとは思ってもみませんでした。
事態がいい方向に向かうことを祈るばかりです。
Posted by Yuki at 2011年03月15日 15:03
>Yukiさん
どうもはじめまして。
黒澤監督の『赤富士』は、映画の世界だけで終わって欲しかったですね。
静岡県にお住まいでしたら、『赤富士』の夢は、かなりリアリティーを感じたのではないでしょうか。

放射能性物質に着色する技術を開発したという映画でした。映画なので、そのようにしないと、死の恐怖が迫っている絵がとれなかったからではないでしょうか?
見えない恐怖と、これからは闘わなければなりません。

昔よりも、被爆に対する医療技術が向上していることを願います。
退避命令された方々のことを思うと胸が痛みます。
Posted by Rico at 2011年03月15日 20:54
赤富士のYou Tubeでも話題になっているみたいです!

http://www.youtube.com/watch?v=mTg3D1PoyUE&feature=related
Posted by えり at 2011年03月15日 21:10
>えりさん
あ!本当ですね!
久々に映画を観ました!
短いけれど、黒澤監督からのメッセージがぎゅーっと込められた作品だと思います。
『夢』が現実になってしまったことが、悔やまれます。

情報をありがとうございましたm(_ _)m
Posted by Rico at 2011年03月15日 23:28
はじめまして。
『夢』は中学生の頃拝見しました。狐の嫁入り、雛、ゴッホは色が印象的で覚えていましたが赤富士、鬼のいる山等は久々見て思い出しました。
今まさに福島で現実となり、また先程の静岡の地震でより恐怖を覚えました。
被害にあわれた方々には心よりお見舞い申し上げます。
Posted by ミクロ at 2011年03月15日 23:51
>ミクロさん
どうもはじめまして。
『夢』は、短編集の映画でしたけれど、記憶に残る映画でしたよね。
美しい光景の『夢』もあれば、絶対に見たくないような『悪夢』まで。
秋田、新潟、静岡etc・・・日本列島が、歪み調整をしているようです。
さらなる被害拡大にならないことを祈ります。
Posted by Rico at 2011年03月16日 00:03
 はじめまして。
 今回の事故で私も黒澤明作品を思い出しこちらにたどりつきました。
 まさか、映画のようなことが起きてしまうとは・・・・・・。黒澤明監督は原発の危険さなど本当の事を聞いていてこういった事態が起こることを知っていたのかもしれませんね。
Posted by やま♪ at 2011年03月16日 11:11
>やま♪さん
そうですね。きっと、黒澤監督は、原発が、100%安全なんてありえないというメッセージをこの映画で発信していたのだと思います。
Posted by Rico at 2011年03月16日 12:01
お引越し後初コメします。
そう私もこの映画のこと、思い出しました。
これは夢であって欲しい、とこれ以上の被害が拡がらないことを祈るばかりです。私にできること、何か・・・と考えながら過ごしています。
Posted by hanaco at 2011年03月16日 13:58
>hanacoさん
コメントありがとうございます。
昨夜は、静岡で震度6強だったので、「赤富士」の映像が脳裏をよぎってしまいました。
きっとhanacoさんにも、私にも、できることが、何かありますよ!みんなで、乗り越えましょう!
Posted by Rico at 2011年03月16日 14:08
大学の時に、見た映画です。
原発事故で私もこの映画を思い出しました。
同じ思いをしている方々がこんなにいるとは正直思いませんでした。
昨日、テレビの司会者が、「放射能は見えないから危険です。」と
喋っているのが滑稽でした。
井川比佐志さんのセリフを借りると「死神に名刺をもらってもしょうがない!」と思います。

改めて、映画を見ましたが、
海辺の荒涼たる瓦礫の山、
皆が海の底に行ってしまったことが今度の震災に重なります。
まさに、黒澤監督の正夢なのでしょうか。
Posted by のらねこ at 2011年03月17日 15:06
>のらねこさん
黒澤映画の一つ一つのセリフが、何を伝えたかったのか、今になって、よくわかってきたような気がします。
確かに、「放射能は見えないから危険です。」は滑稽に感じますね。「見えたって、危険です!」これが、黒澤監督のメッセージでした。

のらねこさんにも、機会があったら、この絵コンテ本を手にとって見ていただきたいと思います。映画以上に今回の被災地イメージがピタリと重なりますよ。
「赤富士」の絵コンテを読んだ時は、怖くて怖くて仕方がなかったのだけれど、「これは、『夢』の話しなんだから」と自分の中で封印してしまったことを後悔しています。
Posted by RicoRico at 2011年03月18日 00:30
黒澤明もあっち側の人だったのか・・・
Posted by dd at 2011年03月19日 16:41
>ddさん
黒澤監督は、「安全&安心を絶対に守ってください!日本がこんな風になっては、困ります!」というメッセージを原子力発電所サイドへ訴えたのではないでしょうか?
Posted by Rico at 2011年03月19日 18:45
「こっち側の人」っていうのは、ここで言われている「縛り首にしなくっちゃ気が済まない」犯罪者でしかないんですよね。殺す側と殺される側。黒澤監督はもちろん「殺されるかもしれない側」に立っています。当たり前のことですよね。
Posted by キャラウェイ at 2011年03月22日 00:15
>キャラウェイさん
そうですね。黒澤監督は、「放射性物質で殺されるのは嫌だ!」ということを言っているのは明確です。当然ですけどね。
Posted by Rico at 2011年03月22日 15:26
はじめまして、こんにちは。私も中学生の時にこの映画を見て内容もよくわからぬまま、怖いなぁと感じた一人です。
残念ながら今みるとよくわかりますね。
なんとなくなのですが、『頑張ろう日本!』と言われても今ひとつ元気がないのは『原発』が常に心の中にあるからなんですよね。
この話の中で「放射能でジワジワ殺されるなんて生きてることにはならないよ」ってセリフがありますが、少しわかる気がします。
巨大なタンポポもゾッとしますね。いかりや長介が鬼の役ででますが
「頭が二つあるうさぎ、目が一つの鳥、毛の生えた魚がいた」とか
本当に怖いです。
今、私は日本を良い国に変えよう!と思う心よりこんな国にいたって子供がかわいそうだ、政府(大本営)は昔から変わらず、これからも
変わらないだろうと思う気もちの方が強いです。
Posted by ドロンパ at 2011年04月14日 02:10
>ドロンパさん
お気持ちは、とてもよくわかります。
最初は、私も、怖さと怒りで一杯でしたが・・・時間の経過と共に、こうなってしまった現実を「なってしまったものはしょうがない」と思うように変化してきました。誰かを恨み続けて生きるのも、しんどいので。

チェルノブイリの荒れ果てた荒野にも、しっかりと野の花が咲いています。
野の花と同じように、命あるかぎり、けなげに生きよう!
今は、そう思いでいます。

なんだか、内容がズレたレスをしてしまって、ごめんなさい。
Posted by RicoRico at 2011年04月14日 02:41
はじめまして。

あの『赤富士』『鬼』のエピソードは衝撃的でした。
今だったら絶対に映像化できないでしょうね。

しかし、この映画では、
恐ろしい『赤富士』と『鬼』の2編の後、
映画のラストでは自然と共生する川辺の美しい村が描かれますよね。
今思うと、黒澤監督は行き過ぎた科学技術への盲信に警鐘を鳴らし、
「自然へ還れ」というメッセージを発していたんでしょうか。

黒澤監督は『夢』の後に撮った『八月の狂詩曲』でも反核の強いメッセージを訴えていましたね。
Posted by ぽん at 2011年04月14日 03:53
>ぽんさん
はじめまして。
ぽんさんのおっしゃる通り、黒澤監督は、自然と共生する暮らしを見直すことを伝えたかったのだと思います。
ラストでは、水車が回っていましたが、あれは、自然エネルギーの象徴だったのだろうと思います。

人間が生み出した原子力発電。事故により、人間の手では止められない恐ろしい存在になってしまいました。

チェルノブイリ以上にならないことを祈るばかりです。
Posted by Rico at 2011年04月14日 22:34
黒澤監督の「夢」の「赤富士」を捜してこちらのブログに行きつきました。おっしゃるように、まさに黒澤監督の夢でみたことが現実になってしまい大変残念です。もっと前にこの映画を見て関係者は危機感を持つことができなかったのか。多くの疑問が残ります。本当に日本のことを憂慮されていた黒澤監督の「先見の明」と「天才的な鋭敏な感覚」(実際天才ですが)に驚嘆します。普通の日本人であればこのように思っても周囲の目を気にしてあえて考えを表出しない。その惰性に流される危険性も監督は熟知していたのでしょう。この絵の迫力はおっしゃるように、映画よりもある意味で迫力があり、印象的ですね。すばらしいブログありがとうございました。おじゃましました。
Posted by genshun at 2011年04月15日 20:15
>genshunさん
コメントありがとうございます。
黒澤監督の「おそろしい悪夢」が現実になってしまいました!
genshunさんのおっしゃるように、黒澤監督は、20年前から、日本人は、危険と知りつつも、原子力発電にどんどん依存していくだろうということを予想していただろうと思います。
黒澤監督の力強い絵コンテには、「原子力発電は怖いものなのだ」と、必死に訴える魂の叫びのようなものが込められています。もし、この絵コンテを手にする機会がありましたら、ぜひ、見ていただきたいと思います。
こんなに素晴らしい絵コンテを描いて、それを忠実に映画化できる監督は、二度とあらわれないだろうと思います。
本当に天才だったと思います。
Posted by RicoRico at 2011年04月15日 23:57
初めまして、
「夢」は20年前ですが、黒澤監督は1955年今から56年間に「生きものの記録」という、放射能の恐怖におののく老人を主人公にした作品を作っておられます。映画の中の老人は世間にも家族にも見放され、精神異常者として精神病院に強制的に入院させられてしまいます。
黒澤監督がこの映画が作られたのは、南太平洋のビキニ島でアメリカが行った核実験により、日本のマグロ漁船が被曝し、漁師の方が亡くなった事件に影響を受けられたとのことです。
黒澤映画としては、大ヒットした「七人の侍」のすぐあとにもかかわらず、記録的な不入りだったそうです。
今見ると、ある意味でとても面白い作品です。
老人の言動に困惑する人々の姿は、核の恐怖に無関心な、私をふくめておおぜいの日本人の姿のように思えます。
ぜひ、大勢の人々に見てもらいたいです。
「生きものの記録」「夢」「八月の狂詩曲」・・・
黒澤監督は鋭い嗅覚で核の恐怖を感じておられたのだと思います。
Posted by しろー at 2011年04月19日 14:36
>しろーさん
はじめまして。
黒澤映画にお詳しいのですね!いろいろと教えていただいてありがとうございます。勉強になりました。
まだ観たことがない作品が多いですので、改めて観てみたいという気持ちになりました。

私は、本屋さんで、偶然『夢』の絵コンテ集を見つけて、その力強いタッチに惹かれて購入しました。
黒澤監督の絵コンテというよりも、絵画は、本当に素晴らしいです!是非とも、しろーさんには、この本と映画を見比べていただきたいと思います。絵コンテのよさと映画のよさとのダブルで、『夢』という作品の素晴らしさを感じることができると思います。
Posted by Rico at 2011年04月19日 23:02
はじめまして!
 素晴らしいブログに出会えたことに感謝しキーボードに向かっています。

JCO臨界事故,水俣病などの経験を踏まえることなく,企業行政メディア一体して核戦略体系の権益構造をを死守せんとする方々にとってこの上なく邪魔なサイトであることを信じて疑いません。

中村審議官更迭ですべての局面を負の連鎖の坩堝へ叩き込んだと泣き言を言えばきりがありませんネ!

どうかこれからもご健康に留意されてのご活躍を祈念します。 風如
Posted by 赤緑亭 風如 at 2011年05月31日 17:59
>赤緑亭 風如さんへ
はじめまして。
過分にお褒めのお言葉をいただきまして、恐縮いたします。

原子力発電は、「安全で、クリーンで、地球環境に優しいエネルギー」というキャッチコピーを刷り込まれていたので、原発事故が、こんなに恐ろしいものだったとは、『悪夢』を見ているような気がします。
「夢なら、覚めて欲しい!」と何度も願ってみたのですが、悲しいかな、どうやらこれは、夢ではありません(T_T)

こうなってしまった現実をありのまま受け止め、今、自分が何をすべきかということをしっかりと考えて行きたいと思います。

赤緑亭様におかれましても、どうぞご自愛下さいませ。
Posted by Rico at 2011年06月01日 00:12
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